Home参考書・辞典・資格・語学連載コラム子どもの可能性を引き出す アメリカ最新教育事情第12回 アメリカ留学の方法

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幼児小学生

子どもの可能性を引き出す アメリカ最新教育事情

第12回 

[2010年09月17日 公開]

アメリカ留学の方法

織井弥生

現在、年間約8万人が日本から海外へ留学していますが、留学先で最も多いのがアメリカです。
日本人の留学先としてアメリカが人気のある理由は、アメリカの教育制度は間口が広く、個々の目的に沿ったプログラムが充実しているからなのでしょう。
今回は、幼稚園から大学まで、アメリカの学校に留学する方法をご案内します。

女性の方が多い日本人留学生

アメリカに留学した日本人の数は、2008-2009年度で約3万人でした。
アメリカへの留学生数は、1997年の4万7千人をピークとし、2002年以降、減少傾向にあります(同時期の日本人の海外留学生全体数も減っています)。
1994年から1997年まで、日本はアメリカにおける海外留学生数で1位でしたが、インドや中国からアメリカに渡る留学生数が増加したため、今では、インド・中国・韓国・カナダに次いで5位となっています。
日本人留学生の特徴は2つあり、1つは、大学学部課程の留学生(57%)のほうが大学院課程の留学生(22%)より多いこと、もう1つは、女性(54%)が男性(46%)よりも多いことです。
また、2年制大学に留学する人、短期の語学学校に行く人も多く見られます。

アメリカの大学に合格するには

「アメリカの大学は入学しやすく、卒業するのが難しい」とよくいわれます。
果たして本当にそうなのでしょうか?
「卒業するのが難しい」ことは当たっていますが、「入学しやすい」かどうかは、目指す大学のレベルにより千差万別ですので、注意が必要です。

確かに、アメリカの大学制度が開放的であることは事実です。
地域には、生涯学習の場でもあるコミュニティ・カレッジがあり、英語力に自信のない日本人にも障壁が低いといえます。
しかし、トップレベルの私立・州立大学の入学倍率は高く、近年ますます競争が激化しており、例えばハーバード大学・エール大学・スタンフォード大学などはいずれも10倍以上の狭き門です。

アメリカの大学はレベルに関係なく、AO(アドミッションオフィス)入試方式であり、次のような観点から総合的に入学が決定されます。

  • 高校の成績(絶対的・相対的評価、取得単位の難度など)
  • 共通試験(SATまたはACT)
  • エッセイ
  • 推薦状(校長、担任、スポーツのコーチなど複数の人から)
  • 学校外活動
  • 面接
  • 特筆すべき才能
  • コネ
  • 出身地
  • 人種

日本人がアメリカの大学への入学を志願するなら、最低条件として英語力・学力があることを学校の成績・共通テストで示し、更に、エッセイや面接で、日本人として日本で何をしてきたかを積極的にアピールすることがポイントです。

海外からの志願者は、アメリカ人よりもずっと少ないわけですから、「海外生」として注目される確率が高くなります。
そこを最大限活用し、「日本人としてどのように秀でているか」、「アメリカの大学でどのように活躍し、周囲に貢献できるか」、「アメリカの大学で学んだことを将来どのように活かしていきたいか」を大いに伝えるのです。

入学してからの勉学生活はハードですし、学位取得などの留学目的を果たすには相当の努力が必要です。
それを実現し乗り越えようとする意気込み・覚悟・ビジョンをアプリケーションに盛り込み、AO担当者に「この学生は入学させたい」と思わせる準備をしましょう。

高額な学費の調達

忘れてはならないのは、アメリカの大学の学費は高く、年額3万ドル以上(1ドル90円として270万円)かかることも珍しくないということです。
私立大学はもともと高額ですし、州立大学でも海外留学生は居住者より高い学費を払います。
更に、住居費・食費・交通費なども必要です。
通常、これらを支払う能力があることを証明するために、銀行口座の残高証明などを提出することが求められます。

アメリカ人向けには各種の奨学金が充実していますが、日本人学生が得られる奨学金は限られています。
私費留学だった私は、日米教育委員会のフルブライト奨学金を得たことが大きかったといえます。
学費の一部が支給されただけでなく、1952年から日米両国政府により続いてきた歴史ある奨学金制度を受ける一員として、両国の架け橋となることを意識してきました。
現在は、他にも、独立行政法人日本学生支援機構のほか、各種団体による奨学金もありますので、留学の際は検討してみるといいでしょう。

世界の大学ランキングで上位を占めるアメリカの大学

志が高いほど、入学・卒業も簡単ではないアメリカの大学ですが、世界の大学ランキングではどのような位置付けになっているのでしょうか。

2010年版のQSのランキングによれば、1位ケンブリッジ大学(イギリス)、2位ハーバード大学(アメリカ)、3位 イェール大学(アメリカ)、4位 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(イギリス)、5位 マサチューセッツ工科大学(MIT、アメリカ)・・・と、アメリカとイギリスの大学が並びます。
日本勢では、東京大学が24位、京都大学が25位にようやく登場し、大阪大学49位、東京工業大学60位、名古屋大学91位、東北大学102位・・・ と国立大学が続き、早稲田大学は182位です。

世界ランキング30位までの大学を見ますと、実に、アメリカ15、イギリス8、日本とカナダが各2、オーストラリア・香港・スイス各1となっており、圧倒的にアメリカの大学が上位を占めています。
数年間のデータを見渡しますと、ランキングの数字こそ多少変わりますが、上位校として登場する顔ぶれはほぼ同じです。

日本の大学の頂点に君臨する東大でさえ、世界的には20位台だと評価されている事実、また、アジア圏内でもシンガポールや香港の大学が上位である事実は、日本人にとってはショックな話です。

経済だけでなく教育の世界においても、日本のグローバルな競争力を考える時、この現実を真摯に受け止める必要があるのではないでしょうか。
日本の優秀な頭脳が海外流出することを食い止めるためにも、日本の教育のあり方を真剣に見直す時期に来ていると思われます。

子どもの手軽な‘留学’はサマーキャンプ

高校生の留学も、さまざまな団体の活動により、1年程度の短期留学を中心に道が開けています。
高校留学では、特定の私立の全寮制高校を希望する以外では、アメリカの高校生活を体験すること自体が目的であることが多く、留学先は支援団体が選択する公立高校であり、一般家庭に滞在するホームステイ形式を取ることが一般的です。

ホームステイでは、その家庭の子どもと同じように扱われ、学校に通いますので、アメリカ人家庭の生活を内部から体験できることが高校留学の醍醐味といえます。

中学生以下の子どもの留学は一般的ではありませんが、夏休みにサマースクール・サマーキャンプに参加するという方法があります。
実際に、私の知り合いで、幼少時から小学校低学年まで、毎年夏休みにお子さんをアメリカの幼稚園のサマースクールやYMCA等ののサマーキャンプに入れていた日本の家庭がありました。

そもそも、サマースクールとは、6月中旬から8月までの夏休みの期間に行われる授業のことです。
幼稚園では、普段とは趣向を変えて、テーマを設定して特別活動を行ったりすることが多く、図画工作を多く取り入れたり、スイミングを組み入れたりすることもあります。
多くの幼稚園が、夏休み期間中もほとんど休みなくサマースクールを実施します。

インターネットで検索すると(もちろん英語のサイトですが)、幼稚園(すべて私立)のウェブサイトにサマーキャンプの有無・期間・料金が掲載されていることもあり、メールや電話で問い合わせれば、おおよそのことはわかります。
定員に空きがあれば、海外からの子どもでも比較的柔軟に受け入れてくれるところが多いようです。

ただし、ある程度の英語力があることが求められることは覚悟したほうがよいでしょう。
幼稚園にはESL(英語を第二外国語とする児童生徒のための教育)体制はまずありませんので、英語力の低い子どもを受け入れるかどうかは、校長先生や実際に指導にあたる教師の判断によるからです。
しかし、アメリカ人に対して消極的にしていては何も始まりません。

「うちの子は英語にとても興味があり、アメリカのサマースクールに行ってみたいと熱望しています。私たち保護者も、そちらの素晴らしいプログラムに子どもを参加させ、貴重な体験を積ませたいと強く希望しています」のように熱意を伝えれば、Yes という返事がもらえる可能性が高まります。

サマーキャンプは、スポーツ・ダンス・工作など、目的別にコースが作られており、参加する意欲さえあれば英語力のレベルはさほど重要ではなく、参加するうちに確実に英語に親しむことができます。
サマーキャンプについては7月のコラムでもご紹介しましたので、ご参照ください。

アメリカへの留学は、年齢と目的によって選択肢が実に広いので、事前に念入りに調査をし、相応の準備を計画的に進めることが必要です。
具体的なご質問があれば、yorii@kaigaiss.com にお寄せください。

織井弥生 (おりいやよい)

織井弥生(おりいやよい)

幼少時6歳までをアメリカ合衆国にて過ごす。 
上智大学外国語学部英語学科卒業。
大手メーカー勤務後、日米教育委員会フルブライト奨学生として、トップビジネススクールのノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院に留学、卒業(MBA)。
エンタテインメント企業、インターネット関連ベンチャー企業等で事業企画、マーケティングに従事。
2001年より日米間を行き来し、子ども(現在現地校小6と小1)を日本とアメリカの公立・私立校に学ばせる。
現在、カリフォルニア州に在住し、教育関連のコンサルティングと執筆を行うほか、アメリカ在住の日本人の現地生活適応を手助けする「海外生活サポートサービス」代表を務めている。
訳書に「マーケティング戦略論」(ダイヤモンド社)ほか。

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