著者紹介

原作はオーストラリアで大人気の絵本作家のコラボ！


【ケイト・メイズ（原作）】
オーストラリア生まれ。ルーシー・メイという著者名でも絵本をかいている。こどもと大人の両方が楽しめる作品が多い。このシリーズは、友人とこどものやりとりを見たのがきっかけでアイディアが浮かんだ。


【サラ・アクトン（絵）】
イギリス生まれ。わが子に物語を話してきかせたのをきっかけに、本のさし絵や文をかく仕事を志す。オーストラリアに引っ越し後、新人賞を受賞し、デビュー。書店や図書館でのワークショップや講演も精力的に行っている。


【古藤 ゆず（翻案）】
出版社で編集の仕事を経験後、独立。以来、乳幼児向けの絵本の企画、執筆にたずさわっている。翻案を手がけたベルギーの絵本『おさかなちゃん』シリーズは、50万部超えの大ヒットに。3児のママとしても、日々奮闘している。



「Daddy Cuddle（パパとすぅすぅの原作）」をヒットさせ、数年後「Mummy Cuddle（ママとすぅすぅの原作）」を誕生させたオーストラリアの著者おふたりと、日本版の翻案を担当した古藤 ゆず氏。すてきなハーモニーをかなでてくれた3人に、お話をきかせていただきました。


――― 幼いときは、どんなこどもでしたか？

ケイト・メイズ（以下 ケイト）：幼いころ、わたしはお友だちといっしょに外であそぶのが何よりも好きでした。木登りしたり、川へ行ったり、探検したりね！　本を読んでもらうのも大好きでした。幸運なことに、読みきかせをするのが好きな両親と祖父母がいました。
古藤 ゆず（以下 ゆず）：田舎育ちなので、わたしもセミをつかまえたり、木登りしたりするのが好きでした。両親は自営業でいそがしく、ひとりで本を読むようになって、自分とはまったくちがう世界に入りこむのがおもしろくなりました。本で読んだことを再現する「ごっこあそび」もよくやりました。たとえば「無人島に流れついて洞窟で暮らす」とか…！


――― ケイトさんとゆずさん、おふたりにとって「こども時代」の思い出がよく似ているようで、驚きました。サラさんは、本を読むのが好きなこどもでしたか？

サラ・アクトン（以下 サラ）：わたしはこどものころ、マイケル・ローゼンとヘレン・オクセンバリーのつくった「きょうはみんなでクマがりだ（日本語訳：山口文生）」という絵本がお気に入りでした。母が読みきかせをしてくれて、さんぽに出かけるときはいつもまねをしていたの！


――― みなさん、こどものころから本に親しんで、想像力をふくらませてあそびに発展させてきたようですね。

ケイト：「想像力」は、わたしたちひとりひとりに贈られた、最高のギフトのうちのひとつだと信じています。本に夢中になって時間をすごすと、居心地のいい家にいながらにして、頭の中でどんな場所にでもいけるんです。だから、本はすごいものなんだと、幼いころから感じています。はじめての職場が書店だったことも、すごくラッキーでした。


――― 絵本のお仕事を始めるまでに、どのような勉強や努力をしましたか？

ケイト：わたしは何年も書店に勤めるうち、あらゆるたぐいの本や著者、そしてイラストレーターのことを知りました。そして、こどもの本の専門店に転職し、児童書の知識をきわめたのです。こどもの本を読むこと、研究すること、そして本の著者から学んだことが、自分自身の作品を書く自信につながったと思います。
サラ：わたしは以前からアートが大好きで、最初は彫刻家として、そして高校の美術教師として働いていました。自分は絵を通して物語を伝えることが大好きなんだ、と気づいたのは、自分の娘が生まれて、娘のために物語の文を書きはじめたときです。夜間大学でライティング（文の執筆）について学び、それと同時に絵のスキルもみがきました。キャラクターやシナリオをつくることや、本の構成を考えることは、すごく楽しい！　アイディアがぽんっと浮かんだときは、ひとりでクスクス笑ってしまいます。心に浮かんだことを書きとめられるように、いつもスケッチブックを持ち歩いています。


――― その後、どのようなきっかけでこどもの本にたずさわるようになりましたか？

サラ：はじめて本を書きはじめたときは、ニュージーランドに住んでいました。その地元の図書館にある、ライティングに関する資料はすばらしかったわ。おかげで、コンペに応募しようと思いいたりました。そして、ある出版社に作品を提出して、予選を通過したんです。その結果に勇気づけられて、それからのわたしは物語の文を推敲し、さし絵を描きつづけたの。その後、オーストラリアに引っ越して、ラッキーなことに、新人イラストレーター賞を受賞し、本を出版しました。
ケイト：わたしの場合は、こどもの本の広報を担当していたときに、ある偉大なふたりの絵本作家といっしょにプロモーションツアーをする機会に恵まれたんです。そのとき、ふたりがわたしに「本を書く」心構えについて教えてくれて。「本を書く」というのは、魔法のようなことではなく、まずアイディアを持つこと、そしていすに座って仕事にとりかかる自信を持つことよ、とね。ふたりとも「ひたすらやるだけよ」と、はげましてくれました（笑）。
ゆず：わたしは大学卒業後「絵本を作る仕事がしたい」と出版社に入社しました。編集者としてプロの作家さんやイラストレーターさんと話してみると、知らないことだらけ。勉強会に参加して、いろいろな絵本を読んで分析したりするうちに、自分でも作品を作りたくなりました。それで独立して、今は主に幼児向けのお話を書いています。うさぎちゃんのようなファーストブックと５・6歳の幼児向けのお話とでは全然ちがいますが、考えるのが楽しいです。


――― 今回の本を作ろうと思ったきっかけは何だったのですか？

ケイト：友人にはじめての赤ちゃんが生まれたときに「Daddy Cuddle（パパとすぅすぅの原作）」を書こうと思いつきました。友人はこういったんです。「平日は、わたしがこどものお世話をするけど、土曜はパパがお休みの日だから、朝早くからベッドを出てお世話をするのはパパの番なのよ」って。こどもは、パパをうまくベッドからさそいだそうとするし、その子のするどんなささいなお願いごとでも、パパをベッドから出させるのに十分なんだろうな、と想像しました。パパはパパで、こどもをうまくさそってぎゅっとしながら、ベッドにもどそうとするんだろうな…と（笑）。
ゆず：わたしの場合は、編集者のかたから「こんなにすてきな海外の絵本がある」と「Daddy Cuddle」を見せていただいたのがきっかけです。最初は、絵がちょっと大人っぽいかなと感じましたが、読んでみたら、うさぎちゃんのおちゃめさがかわいくって！　ふりまわされているパパもなんだかおかしくて、これはみんなに読んでもらいたい、と思いました。


――― うさぎちゃんはどんなこどもですか？　何か特別な設定が、ご自分の心の中にありますか？

ケイト：うさぎちゃんは、表面上はささいな要求をしています。けれども、本当のところは、うさぎちゃんは一日をはじめる準備がもうできていて、ひたすらわくわくしているんです！


――― できあがった本の中で、とくに気に入っているところはどこでしょう？

ケイト：サラが描いてくれた全部のさし絵が大好きです。彼女がこの物語に、すごくたくさんの喜びとユーモアをもたらしてくれたと思います。彼女のさし絵をはじめてみたとき、ものすごく幸せな気持ちになりました。
サラ：わたしのお気に入りシーンは、２見開きめ。ちいさなうさぎちゃんが朝、お父さんが起きているかどうか見にいくところです。「パパ、起きた？」ケイトから受けとったこの文章が、わたしに娘がはじめてこども用ベッドから出て大きなベッドで寝たときのことを思いださせました。娘がいつのまにかわたしの寝室に静かに来ていて、わたしがふと目をあけたら、じいっとこちらをみつめていたの。ふふっ、もうだいぶ昔のことだけど…、どれだけ長くそうしていたのかしらね！
ゆず：わたしは「とろーん…ぽわぽわぽわ」のラストシーンが好きです。わたしのこどもたちはもう大きくなりましたが、ひとつのふとんで寝ていたころが本当になつかしいです。



…それぞれ、別の職を経験したあと、絵本作家を志し、縁あってコラボが実現した３人。くりかえし読むほど、新しい発見や感じかたのできる、深みある絵本が生まれました。





★★ ママ巻も、大好評発売中です！★★



「うさぎちゃんの ねるまええほん　ママとすぅすぅ」

よるです。もうねんねのじかんだというのに、ぜ～んぜんねむくないうさぎちゃん。おへやをきょろきょろ、べっどからぬけだして…。寝かしつけのあるあるストーリー。うさぎちゃんは無事に「すぅすぅ」ねむるかな？